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貞苅店長のヨーロッパアルプス奮闘記 part5
 
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貞苅店長のヨーロッパアルプス奮闘記 part5


雲は低く垂れ込め、昨夜の雨の水溜りが『さあ、登るぞ!』の気持ちを消沈させたが、残りの日数も少なくなり今度のモンブランアタックが最後のチャンスと思い直し、何とか頂上に立ちたい気持ちでいっぱいだった。 グーテ小屋までは登ったものの風雪の為、誰一人として頂上へは向かうものはなく、また、粘る時間もなく下山を余儀なくされた。
振り返ると、今までが順調過ぎたのかも知れない。
マッターホルン、アイガー、事故ったもののグランドジョラスの頂には立っている。 しかしまだS君をピークには立たせてやれてない。立たせてやりたいのと、自分も立ちたいのと複雑な気持ちだ。

Hさんの事故後のケガの具合は全く問題無いが、精神的にはやや心配な部分はあった。
『小屋までは行く!』というHさんの決断をメンバーは受け入れた。
普通ならば行かないという人が多いと思うし、自分なら行くと言えないところだが、凄い人だ。
Mさんはグランドジョラスでアイゼンを破損し、スネルスポーツでレンタルし、この場に臨んでいる。
自分の不安材料は、今回何度もはいてきた靴の問題だ。マメの中に更にマメをこさえて靴下の中ではすごいことになっていた。
ここまでひどいのははじめてだ。騙し騙し歩いたが、この足が問題だった。
が、ここまで来たら痛いからといって辞めるわけがない!行くしかない!

3人を後に線路脇を歩き続ける 線路の真ん中に急傾斜用のカム、
傍らにはこんな花がいっぱい咲いてます。
3人を後に線路脇を歩き続ける 線路の真ん中に急傾斜用のカム、
傍らにはこんな花がいっぱい咲いてます。

シャモニーからバスで30分、ロープウェイ駅下に到着。
数分で上の駅、一帯が雲の中で何も見えない。
土砂崩れで不通になった電車は今日には開通と聞いてたのに、まだだった。
さあいくぞ、という時に身体の大きな警備員風のおじさんに道をふさがれ、小屋の予約はしているか?してなければ降りろ!という内容で言われて困った。
遠く日本から来たから、床でもいいからといろいろお願いしてたら、携帯電話で何処かに電話して(フランス語だから全く判りましぇん) 小屋OK取ったからどうぞと一転。鬼が一転、神様に見えた。
お礼の言葉を言い、線路の方角に向かおうとすると、そっちより、こっちの方がいいぞと指差してくれたおかげでイイ感じの小道を進むことが出来た。
時折、お花畑を横目に見ながらやがて線路に出た。随分先には先行者も見え始め、ガスが切れ始めて視界が開き始めた。
だが、自分はかかとが痛いのでそのせいで3人が自分を待つことで予定が遅れるわけにはいかないので自分だけ先行した。
本来、乗るはずであった電車の終着駅に2時間ほどで到着。


登山電車の終着駅のすぐ上にある立看板 大クーロワールを慎重に渡る
登山電車の終着駅のすぐ上にある立看板 大クーロワールを慎重に渡る

ここからは5年前に歩いた道、良く覚えている。
大クーロワールに着き、気合を入れて落石に注意しながら、急いで通過。
これからが、核心部とも言えるグーテ小屋手前の岩稜だ。 時折、ガスの間から小屋が見え隠れしている。
近くに見えても、実は遠いというのは前回勉強した。
かかとは限界に近いくらい痛いが、すぐに雲の上に出て、快晴となり小屋に到着した。
小屋の周りは日向ぼっこしているクライマーでいっぱいだった。
中に入ると5年前の5分の1の人しかいない。快適な小屋だ。
寝床に入り、明日に備え身体を休め、夕食を待った。 かかとのケアは恐ろしくて出来ない。
やはりHさんは頂上へ行くことにし、4人全員で目指すことになった。
期待した夕食は見事に裏切られて驚くほど不味く、悲しみの就寝となり、2時からの朝食までぐっすり寝込んだ。

グーテ小屋が見えてきたぞ! 小屋まで上がると、空は快晴!
グーテ小屋が見えてきたぞ! 小屋まで上がると、空は快晴!

朝食にはたっぷりのお茶もついていて、水分の補給は充分であった。
戦場のような食堂をあとに出発の準備に取り掛かる。
LEDのライトが明るい。出発し、小屋の上に出ると、モンブランとのご対面。その頂上に向かって、既にライトの列が続いている。
途中、何箇所かクレバスを通過したが、大きなものはなかった。
バロー小屋を横に見る頃、かかとの痛さは感覚がなくなり、もうどうでもよくなっていた。
雪の上ではあまりいたくはない。というか麻痺してよくわからない。
問題のない雪稜を過ぎると、大勢の人がいる。頂上だ。
今自分たちはヨーロッパの最高点にいる。

存分に満喫した後、下山にかかる。あとは下るだけ。グランドジョラスのときのような緊張感はない。そのことが怖いと思いながらも、どんどん下りた。暗くて見えなかった下の景色も快晴の中、存分に楽しめた。
グーテ小屋に戻り、一休み。あとは岩稜の下りと大クーロワールの通過だ。岩稜は無難に通過。
だが大クーロワールは落石がひどい。途切れなく落ちてくる。息を呑む場面もあったが、通過。
渡り終えて、上を見ていると、岩稜からの人為的な落石がかなりあった。午後からの通過はかなりの注意が必要だ。
駅に着き、少し期待をしていた電車の開通はやはりまだで、線路脇の道をまた歩くことに。
ロープウェイを降り、バスでシャモニーの町へ戻り、いつもの宿へ戻った。
無事に戻ってこれたことに簡単な祝杯を挙げて、前日の寝不足が祟ってか疲れ果ててすぐに寝てしまった。

振り返ればモンブラン、いい! グーテ小屋下の大クーロワール
振り返ればモンブラン、いい! グーテ小屋下の大クーロワール
念願のモンブラン山頂にやっと立てた!
念願のモンブラン山頂にやっと立てた!













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